
令和7(2025)年11月、衛生学・公衆衛生学教授を拝命いたしました。衛生学・公衆衛生学は、科学的知見を社会に実装し、人々が健康で幸福に生きる環境を創造する学問であり、日本国内の医療・介護・福祉の課題が複雑化する今日、その重要性はこれまで以上に高まっています。また、感染症対策、健康格差、気候変動、災害と健康、超高齢社会への対応といった課題は、国境を越えて共通するものであり、グローバルヘルスの視点から解決に挑む姿勢が不可欠です。
当教室では、生活習慣病をはじめとする慢性疾患の負担を社会全体で減らすため、「ゼロ次予防・一次予防から三次予防までを包括した個別化予防医学」の開発と社会実装に力を注ぎます。遺伝要因と環境の相互作用を理解し、人々の生活背景に寄り添った予防方法を検証することで、誰もが無理なく続けられる健康づくりの仕組みを科学的に構築することを目指しています。また、能登半島地震を経験した災害復興地域での住民コホート研究を通じ、地域の課題に根ざしたエビデンスの創出にも取り組んでまいります。
学生・大学院生のみなさんには、衛生学・公衆衛生学が「社会の未来をデザインする学問」であることを強調したいと思います。疫学、統計学、環境衛生、産業保健、データサイエンスなど多様な領域にまたがり、研究成果が政策や現場の改善に直結するという魅力があります。現場で働く医療者として、研究者として、あるいは政策立案者として、みなさんの活躍の場は無限に広がっています。当教室は、自由な発想と挑戦を尊重し、みなさんの学びと成長を全力でサポートします。
また、国内外の研究者のみなさまとは、個別化予防医学、災害関連疾患の予防研究などを中心に、学際的で協働的な研究をさらに推進したいと考えています。国際共同研究やデータ連携、多施設共同研究など、互いの強みを活かした連携をぜひご一緒できれば幸いです。
公衆衛生は、すべての人の生活に寄り添う科学です。当教室では、科学的根拠に基づく研究と人材育成を通じて、地域の皆さま、そして日本や世界の人々の健康と幸福の向上に貢献してまいります。
今後とも、当教室の教育・研究活動への温かいご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
金沢大学医薬保健研究域医学系衛生学・公衆衛生学分野教授 原章規


