北陸公衆衛生学会
理事長挨拶

                        中川 秀昭(金沢医科大学名誉教授)  


 北陸公衆衛生学会は、前理事長の岡田晃先生(元金沢大学学長・金沢大学医学部公衆衛生学教授)のご発案とご努力により、1973年(昭和48年)に第1回学会が開催されて以降47年になります。発足の目的として、岡田先生は「北陸は地理的に、したがって気候風土の面でも、また社会・経済的にも共通面を有し、かつては疾病発生の状況から特異性が強調されていた。公衆衛生活動もこの共通の基盤の上で展開されており、研究交流の必要性が痛感されて発足した」と記されています。
 この度、第1代目理事長石崎有信先生、2代目岡田晃先生に次いで第3代目理事長に就任いたしました。どうかよろしくお願いします。
 北陸公衆衛生学会はこの間、毎年研究発表総会に加え、北陸公衆衛生学雑誌、情報交流誌「北陸と公衆衛生」を通して、北陸の公衆衛生を学術的に牽引、発展に一助を果たしてきました。もちろん諸先輩方の多大な貢献に支えられてきたことは言うまでもありません。また、大学研究者が中心になっているのではなく、北陸3県の行政をはじめとした公衆衛生・環境衛生等関連従事者が、住民の健康と安全を守り発展させるための場として活躍しており、多くの行政活動や研究が発表され、大きな評価を得ています。毎年の研究発表総会も北陸3県持ち回りで行われ、各県の行政組織が中心に運営されています。
 北陸公衆衛生学会には学会誌「北陸公衆衛生学雑誌」があり、総会抄録集からなる特別号を含めて年3回発刊しています。さらに、各界の公衆衛生関係者の情報交換が図れるよう、「北陸と公衆衛生」を年1回発行しています。これらは北陸地域における公衆衛生上の様々な問題と課題を解決する上で重要な役割を果たしてきたと考えています。また、単に北陸に限定されず、日本的、世界的な課題も取り上げられてきました。このような、行政をはじめとする多くの研究者が参加し、年4冊の雑誌を定期的に発行し活動していることは、国内の地方の公衆衛生学組織としては類を見ないものと自負できると思います。
 公衆衛生学は人々の健康、安全や生活環境、保健医療などの幅広い分野の課題を扱っています。さらに、近年の技術革新や高齢化などの社会環境の大きな変化は、健康格差、過労死、自殺、環境汚染、大規模災害など、ますます公衆衛生の課題を複雑にし、その解決が急がれています。特にこの2年間の新型コロナウイルス感染症の蔓延という新たな健康危機に際しては、現場で奮闘されている会員の皆様のご活躍には敬意を表したいと思います。是非その活動を学会の場で共有していくことができればと思っています。
 最後に北陸公衆衛生学会がこれまで以上に活動が活発になり、さらに飛躍するためには会員の皆様それぞれが活躍され、それを学会の中で共有することが求められます。そのためにも私を始め、学会役員が積極的に支援していきたいと思います。引き続き、さらなるご協力のほどよろしくお願いいたします。





 




 






 





 

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